宝物



いわゆる乳幼児摂食障害で母乳依存症だったお子さんが、今日はお母さんのシチューをおいしそうにモリモリ食べた。お母さんもすりばちをもってきて丁寧に食べさせている。良かったなあと思う。

機能だけに特化してみると子どもの心やお母さんの心は見えてこない。

訓練やリハビリと称するものは、「こういう訓練がいい」というハウツーになってしまい、「食べさせたい」「食べさせてあげねばならない」「食べれるようにする」という理論で行われてしまい、子どもの立場になっていない。以前、遊んでいるときに口に入れるような訓練を受けていたお子さんもいた。それって、食べることじゃないでしょうと心の中で言いたくなる。

子どもたちには「食べる意欲」を育てたい。おいしい、楽しい経験を通して子どもたちの心身の発達を助けるのだと思う。

最近古本を買った。

「じょうずに噛めるためのワン・ツー・ステップ」 向井先生が昭和大の助教授時代、岡崎先生が岡山大学の講師時代の共著。27年前に出版された本だけど、今、必要なことがたくさん詰まっていてまるで宝箱のような本。

向井先生の追っかけを何年も何年もやってた。目に留まった講習会はほとんど行った。そこから得たものは本当に大きかった。だから、この本は宝物。泣かずに済ませる小児歯科もお弁当の日も岡崎先生から教わった。福祉や障害者歯科の考え方、あり方を体にしみこむように教えてくださっている緒方先生。自閉症の基礎学んだを内山先生、吉田先生・・・本を手に取りながら、必死に勉強した頃の懐かしさを思い、と出会った師の大きさに感謝しつつ、気持ちを新たに頑張ろう。