摂食指導の在り方と一枚のウエハース



久しぶりの投稿です。

夏休みになると支援学校の先生方が、担当するお子さんの摂食指導見学にいらっしゃるのが恒例になっています。

思うことは、基本的なことをご存じない先生が多く、介助や日常での困り間の相談や子供たちの食べることをどう支援していくかの建設的な話し合いの場ではなく、子どものリハの時間を使って先生方に基本的なことを教える時間になってしまい、こどもは指導のためのモデルとなり、保護者は医療費を子どものリハのためでなく、先生方の時間のために使うようななんとも変なことになってしまっていることが、自分の中で消化できないでいます。

このまま「摂食指導の見学」とか「摂食指導の勉強」という名目のこの状況を続けていくことへの意義が見いだせなくなり思い悩んでいました。

先日、発達の凸凹のお子さんの摂食指導で、いつもは来院した時から「食べない」というお子さんの偏食指導なのですが、お母さんの持ってきたものに相変わらず「食べない」とそっぽを向きます。

たまたま私の白衣のポケットの中に一枚チョコウエハースが入っていました。「これは?」と差し出したら、最初は「いらない」でしたが「やっぱり見せて」というので渡すと、袋を開けようとします。袋を渡したらお皿にウエハースを出し、触って、においをかぎ、口に入れるまねごとをしだしました。

お母さんと待ちましょうと黙って様子を見ていたら、ひとくちなめて、カリッとかじり、一枚ペロッと食べてしまいました。始めて食べるチョコウエハース。お母さんは涙ながらにお子さんを抱きしめ「えらかったね」とおっしゃる姿を見て、私は自分の目の前にいる子たちを優先しなければならないと強く強く思いました。

そして、「安全においしく楽しく食べる」ことをご家族やお子さんとしっかり向かい合っていこうと気持ちが新たになりました。

ありがとうね、Rくん。

いま診ている子の時間泥棒をしてはいけない、保護者の医療費はお子さんのために使ってもらおう。そういう思いを強く抱いています。

勉強されたいのなら、勉強する姿勢をご理解していただかないといけない。せめて基本的なことを知ったうえで、資本的なことがわからなかったら、勉強する場がなかったら、学ぶための本がわからなかったら、せめて一緒に勉強会をすればいい。一時間やそこらで「学んだ」つもりではいけないのだということを理解してほしい。

ようやく、心の中にすとんと思いがおちたので、これから気持ち新たに情報発信していこうと思います。