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かぼちゃところころたまごのお話し
1歳のお誕生日の次の日に大きなご病気をされたちびっこの食べることを小児科と保健所のご依頼で拝見することになった。力不足ではあるが、自分にできることで全力を尽くそうと思う。
食べることを拒否しているちびっこに、まずは脱感作目的の味覚刺激からすることにした。「お教えする」が正しいのか「思い出していただく」のが正しいのか、言葉の選択にすごく迷った。迷ったあげく、1歳までは健康だったのだから「思い出してもらう」という言葉を選んだ。
3回目のご来院で、脱感作目的の味覚刺激。
かぼちゃペーストをお湯で溶いて、そっと唇に付けたらハッとした顔をして、味わっている様子。「飴湯、かぼちゃ湯、ほうじ茶、昆布茶のなかで、一番カボチャが好きでしたね」と話したら、ご病気をされる前にかぼちゃが大好きだったとお教えくださった。忘れてなかった、覚えてるんだとうれしくなった。
終わってから、「ころころたまごの手遊び歌を聞かせてあげたら、すごくいい笑顔になって、曲が終わったらもっともっとと催促する。
ご病気になる前、子育てセンターで毎回ころころたまごを聞いて、読み聞かせをしてもらっていたとのこと。
かぼちゃもころころたまごも覚えてたんだと、お母様は大粒の涙、私ももらい泣きをした。
どんなに大きなご病気をしても、たとえ障害があっても、好きだったこと、好きだったものそしてママやパパは忘れるはずがない。「思い出してもらうんだよね」って、もう一回自分の心に誓ったよ。
思い出してもらおう。それが支えになるし、力になるはず。絡んだ糸をほどくように、少しずつ思い出してもらおう。力不足の私にちびっこは大きなヒントをくれたし、目標と目的をくれた。そうだよね、来てくださるちびっこたちが私にとっては先生なんだ。改めて思う。
来年のお誕生日にはかぼちゃを食べよう。思い出じゃなくて、現実にしよう。