口腔崩壊



FacebookでMBS関西のニュースの記事が掲載されていた。

「口腔崩壊という言葉をご存知でしょうか?」で始まる記事は、ざっくりまとめると、10本以上の虫歯などで食べ物をうまくかむことができない状況で、貧困との関係が指摘されており、兵庫県では調査した小中学校の35%でこういった児童生徒がいる。歯科検診で虫歯が見つかった子供のうち65%はその後、歯科受診をしておらず、35%の学校では口腔崩壊まで至った子供がいた。要因として考えられるのは「ひとり親」「経済的困窮」を抱えている家庭。社会的背景があるとのこと。

むむむむ

この記事はとても考えさせられた。確かに、余裕をもって子育てができる環境を行政は作っていかねばいけないし社会が回っていくことも大事だろうけど、歯科医師の責任はないのかしらということ。

ひとり親だから、経済的に困窮したからだけだろうか。

学校歯科医は検診に行ったとき口の中だけ見ていてはいけないと思う。

学校検診をすると確かに虫歯の多い子はいる。その子たちは耳の後ろを見てみる、朝ごはん食べたか聞いてみると汚れていたり、食べてなかったり、食べても菓子パンだったりする。チェックして担任の先生や保健の先生とお話ししたり、先生方が校長先生ともご相談してくださる。学校保健や福祉の介入や要保護で治療をうけられる。それを学校から家庭に連絡してくださる。

これですべてがうまくいくとは思わないし、受診率が急に上がるとも思わないけれど、家庭や社会の問題だけにしてしまってはいけないような気がする。この記事を自分の担当している学校として考え、私たち現場の歯科医師も責務として考えねばいけないなって思った。

この数字をしっかり受け止めなければと、鹿児島県だけど、一歯科医師としてひそかに反省した。

在宅医療での訪問歯科、摂食嚥下、この情報があふれている。私たちが開業当時は誰も行ってくれる先生がいないと、寝たきりの方の訪問に役場からの依頼が来たこともあった。その分野にいま光が当たている。でも、どこかに光が当たると必ず影ができる。口腔崩壊を起こしている子供たちが、もし、影の中にいるのならその子たちのために頑張ろう。

記事には口腔崩壊を起こした子どもの口の中の写真が掲載されていた。虫歯の少ない今の時代、とてもショッキングな写真だと思う。でも、身近に現実はある。