食べる



先日、幼稚園保育園連絡会議の講師として少しお話をさせて頂いた。

その後、いくつかの園が取り組んで下さっている。

摂食外来で拝見しているお子さんの通う保育園も早速取り組まれ、お母さんが嬉しそうにお帳面を見せてくださった。

いろんな具材の混ざっているおかずを丁寧に具材ごとに分けて盛り付けてある写真と、嬉しそうに食べている子どもの姿の写真だった。初めて保育園の給食を食べてくれたとお母さんにお顔は輝いていた。

ASDの子どもたちの偏食は、通常の偏食とは全く別物なのである。食わず嫌いとか、好き嫌いとか、わがままとかではなく「食べられない」ことを療育や育児、教育に関わる人たちは理解してほしい。

障害児保育の専門ではない園が、お教えした工夫をすることで食べられるように支援できていることを知ってほしいと思う。

そうやっていくことが、子どもの理解にも繋がる。

夏休みになって、某支援学校のお子さんの摂食・嚥下指導を担任の先生が見学に来られた。介助をお教えすると、「そうか、君はこうやって食べていたのか。いままで苦労をかけた。」そして、「理解して食べさせると楽しいです」と話してくださった。

涙が出そうな言葉だった。

介助しながら、工夫しながら子供を理解して行くことの大切さ。子どもだけでなく、施設入所の障害者もそうだと思う。

食べることは、身体の栄養だけでなく、心の栄養でもある。一緒に食べたり、介助している人たちや家族との関係や絆も食べる。

美味しいものを口にしたときの笑顔こそが、障害児・者に関わる者への最高のご褒美に違いない。