障害者の抜歯での意思決定の支援

初診でいらした時は、まだ就学前だった。虫歯も多かったので全身麻酔で治療を行った。それから、ご両親が欠かさず定期検診に通われ口腔ケア、予防処置、交換期の抜歯などの管理で虫歯なく綺麗な歯並びの青年に成長した。

でも、残念なことに埋伏智歯があり、痛みが出た。抜歯に関してどうするかお母さん相談し全身麻酔も視野に入れつつご本人にも視覚優位な方なので、わかる言葉で説明した。

✖︎   ◯の表示で◯を指して、外来で抜歯を希望された。無理ならその日✖︎でもいいよと説明し、当日を迎えた。

月に一回、鹿児島大学から口腔外科や先生が来院してくださり診療する。

先生の対応も素晴らしかった。

いつも通りに支えられ、抜歯した。水平埋伏で根が肥大していて時間がかかったが、その間、じっと目をつぶり、痛い時は痛いと合図し、終わった後は笑顔だった。

私は正直、7割で全身麻酔かと考えていて、とても後から恥ずかしい気持ちになった。

障害者の権利擁護。

全身麻酔も究極の薬物抑制だ。以前、同じことがあった。とても動いて危険があるので全身麻酔でとお母さんと話した時、その子はいやだ‼️と叫んだ。では、頑張る?と言って治療を始めたら、今までできなかった虫歯の治療を完治させた。あー、そうだ。あの時、私はその子から権利擁護ということを教わったのではないかと、反省した。

たとえ障害があっても、こちらの都合で抑制してはいけない。本人の意思決定の支援をすべきだ。改めて、学んだ日でもあった。

彼らかつての診断基準でいう、カナー型の重度自閉症です。

できないわけじゃない、私たちが決めつけてるだけなんだ。しっかり、意思決定の支援をすべきだ。みんな同じ様に診療も説明もしゃかりせねばならない。