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顎関節症の原因
顎関節症にはいろいろな原因があります。
1.筋肉の問題
2.膜の問題
3.骨の問題
4.円板の問題
5.原因不明
顎関節症の主要な症状
顎関節症という診断名はある特定の病態、原因、症状を示すものではなく、多様な症状、病態、原因からなる顎関節と咀嚼筋および頚部筋の障害をまとめた病名です。
1.痛み
顎関節症の第一の症状は顎運動時痛です。開口、閉口運動時や咀嚼時に下顎頭が動くことによる顎関節痛と咬筋、側頭筋などの咀嚼筋が活動することにより筋痛が生じます。患者さんは顎関節痛と筋痛を区別して訴えることが出来ないので治療にあたっては鑑別診断します。
1-1 顎関節痛
顎関節痛が起こる主な病態は、顎関節周囲の軟組織の慢性外傷性病変です。滑膜炎、関節包あるいは円板後部結合組織における細菌感染のない炎症です。下顎頭と接するこれら組織に炎症が生ずると神経が過敏になり顎運動時に下顎頭の動きにより刺激されて痛みが生じます。1-2 咀嚼筋痛
筋痛は様々な病態によって生じます。最も一般的な病態は筋・筋膜疼痛で、頭頚部および口腔顔面領域の持続性疼痛の最も一般的な原因でもあります。筋・筋膜疼痛の特徴は局所的な鈍い、疼くような痛みとトリガーポイントの存在で、筋肉を機能させると痛みが増します。活動的な状態のトリガーポイントを圧迫するとジャンピングサインと呼ばれる逃避反応が生ずるほどの鋭い痛みを局所に生ずるとともに離れた部位に関連痛を生じます。2.開口障害
通常病気がなければ自分の指、人差し指から薬指まで3本を縦にして口に入ります。その時の開口量が約40mmです。最大開口量が40mm以下の場合には顎関節、咀嚼筋に何らかの異常があると考えるべきです。開口障害の原因には1)筋性、2)関節円板性、3)関節痛性、4)癒着がありますが、突然に開かなくなったときには関節円板の転位によるものです。また、知らないうちに徐々に開かなくなっているのは筋性です。
上記の開口障害の原因を診断することは簡単ではありませんが、基本的診査として下顎頭が正常に前方に滑走するかどうかを調べ、滑走できるならば、次に最大開口時に左右いずれかの咬筋が強く緊張していないかどうかを診査します。下顎頭に滑走制限がある場合には関節円板性、癒着性が疑われ、下顎頭は滑走するが開口制限がある場合には筋性が疑われます。3.関節雑音
咀嚼や大開口時などにカックンとかガリガリといった関節音が生ずることがあります。最も多い関節音は関節円板性開口障害に先行する復位を伴う関節円板転位によるものです。前方に転位した関節円板が開閉口に伴って下顎頭が前後に動く際に下顎頭上に戻ったり、再度転位する時にカックンといった単発音が生じます。その他の関節雑音として下顎頭や関節窩、関節円板が変形して下顎頭と直接的、間接的にすれ合うことにより生ずるシャリシャリ、グニュといった軋轢音があります。関節雑音は痛みを伴う時以外は治療の必要はありません。
従来は顎関節症の原因はかみ合わせの異常と考えられていましたが、顎関節症の原因は多因子でかみあわせの異常もその一つと考えられています。最も一般的な原因はパラファンクションで、特に日中、睡眠中のくいしばりが筋痛に大きく影響しています。日中のくいしばりに対して、くいしばりが現在の病態の原因になっていることを理解してもらい、それを止めるように指導します。次に多い原因は睡眠中の歯ぎしりでこれは関節痛に影響します。歯ぎしりはこれを止めるのではなく、関節への負荷を軽減させる目的で側方ガイドを付けたスプリントを就寝中に装着してもらいます。対症療法として、関節痛に対しては安静と負荷の軽減(硬固物の咀嚼、患側での咀嚼、大開口の禁止)を指示し、疼痛の強い場合には非ステロイド系消炎鎮痛薬を投与します。また、筋痛に対しては負荷の軽減(硬固物の咀嚼、患側での咀嚼の禁止、かみしめの中止)およびホットパック、大開口による筋ストレッチを指示します。慢性筋痛や広範囲の筋痛および痛み神経の過敏化に対しては三環系抗うつ薬が効果的です。筋・筋膜疼痛によるトリガーポイントは治りにくい病態ですが、多くはこれらの治療によって軽快します。どうしても治らない場合には筋肉のしこりであるトリガーポイントに直接注射をすることもあります。
(出典 KOMPAS)
月に一回の口腔外科診察日にご相談ください。