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バナナの思い出
日々の診療で、お子さんの食べることのご指導をしています。
Facebookを見ていたらしい、ある投稿を読んで昔のことを思い出しました。
バナナを使って摂食指導をしているお子さんがいたのですが、そのお子さんを担当している作業療法士さんから、バナナを使うと子供が混乱して自分の指導ができないと苦情を頂いたことがあるのです。当時、なんで歯医者なのに食べることをやってるのかという批判もある言語聴覚士さんから受けた頃で、もういいと思い諦めてしまったことがあります。自分の信条で「決して諦めない。ピンチはチャンス」といつも言い聞かせていたけれど、たった一度それが揺らいだ時期だったかなあと、いま思います。
食べる道具の手と口を使う職種が協力せず反目して何になるのだろう。その時はとても悲しかった。子供を中心に据えてなぜ考えられないのか。とても疑問だった。バナナという媒体を通して、手を使い、口を使う協調作業を支援できないのかと。関わる者同士が協調できなくて、手と口の協調を支援できるのだろうかと。
「自分が指導する」ことだけにとらわれてしまうと周りが見えなくなってしまったり見つけられなくなってしまう。そんな時は、きっと「なにかしてやろう」」なにかしよう」と思っている時で、何もできない時なのかなと思います。
食べることは生活で決してハウツーで語れるものではないし、手を使うことも、歩くことも、大きく考えると「生きること」もハウツーで語れるものではないんだよねって思います。
その子の目線まで下がって、その子に必要なことを協力しあってみんなでやろうよと考えることが大事なのだと。
そして、それぞれの専門性を尊重してこそ、その中で自分の専門性が最高に発揮できるのだということを、気づかないといけないなぁと、かつてのことを思い出しながら、自分自身が反省できるように基本に立ち戻ろう。
そんなこんなま日々です。