小児口腔発達不全症の保険適応



当院は摂食外来を実施していて、主に障害のあるお子さんの食べる機能のハビリテーションを行っています。

しかし、最近、先天性の疾患などがないお子さんで、「食べる機能」・「話す機能」・「呼吸機能」などの機能が十分に発達していなかったり、正常な機能を獲得できていない状態にある子どもたちに出会うことが少なくありません。

この状態は、口腔機能発達不全症と言って、これに当てはまる場合は、歯科などの専門的な支援が必要です。

先日、評価したうえで「小児口腔機能発達不全症」の診断をし、治療方針を提示したお子様の保護者様から、「小児発達不全症の治療は保険適応なのではないのか」というクレームを頂きました。

確かに「小児口腔機能管理料」として保険は適応されます。しかし、その治療の一環として矯正歯科治療がある場合、矯正歯科治療に関しては実費になるのです。

ただし、育成医療と言って、厚生労働大臣の定める疾患に起因した咬み合わせの異常の矯正歯科治療と、顎変形症の術前、術後の矯正歯科治療は、育成医療機関において保険適応になります。

明らかな疾患がない口腔機能発達不全症のお子さんに関しては育成医療のご説明はさせていただいておりません。

ネットで調べられたご様子でしたが、ネット情報はどうしても切り取った部分の情報だったり、誤った情報だったりもします。

口腔機能発達不全症の治療は、一歯科医院ではなかなかできることではなく、いろいろな職種と連携を取っていく必要があります。例えば、耳鼻科や小児科、リハビリテーション科で言語聴覚士さんなどです。その軸になるのは歯科医師と考えています。軸の部分の信頼関係が崩れてしまうと、多職種連携は困難になってきます。歯科医師は保険適応の治療に対して実費を要求することはありません。

評価診断した医院としっかり話し合い、あるいはセカンドオピニオンで不安を取り除き、お子様の正しい機能が獲得できるようにしていただきたいと感じます。

ネット社会になり、時として診療が難しいと思える時代になったように思います。ネット情報で判断するのではなく、お子さんのために医療機関を信じていただきたいと思う出来事でした。